未経験者向け!介護の資格の種類を徹底解説

介護職は、高齢化社会の日本において、今後ますます需要が高まる仕事です。「人の役に立ちたい」「安定した仕事に就きたい」と考えている方にとって、魅力的な選択肢となっています。
しかし、未経験者の方には次のような疑問もあるでしょう。
- 「どんな資格が必要なの?」
- 「無資格でも転職できるの?」
- 「資格を取るとどんなメリットがあるの?」
この記事では、介護職で活躍するために必要な資格や、それぞれの違い、転職するうえで知っておくべきポイントについて、わかりやすく解説していきます。
介護職の仕事内容:どんなことをするの?

介護職とは、介護を必要とする高齢者や障がいを持つ方が、安心して暮らせるように日常生活をサポートする仕事です。
主な業務内容は以下の通りです。
1. 身体介護
食事・入浴・排泄・着替えなど、日常生活の基本的な動作を支援します。
利用者さんの身体状況に応じて介助の方法も変わります。
2. 生活援助
掃除、洗濯、買い物、調理など、家庭的な生活を支えるサポートを行います。
特に訪問介護では、この生活援助の割合が高くなります。
「いつもの暮らし」を守ることが、利用者さんの尊厳を保つことにつながります。
3. レクリエーション支援
季節の行事や体操、手芸など、心身の活性化を図るレクリエーションを企画・実施します。
単なる時間つぶしではなく、認知機能の維持や社会性の向上に大きく貢献する重要な業務です。
4. 健康管理の補助
バイタルチェック(体温や血圧の測定)、服薬確認など、基本的な健康管理業務を行います。
異変に気づいたら看護師や医師に報告するなど、利用者さんの健康を見守る役割も担います。
5. 心のケア・コミュニケーション
利用者との会話や相談対応、ご家族との連携など、信頼関係を築くためのコミュニケーションも重要な仕事の一つです。
無資格でも介護職に就けるの?

結論からお伝えすると、無資格・未経験でも介護職に就くことは可能です!
特に特別養護老人ホーム(特養)や有料老人ホームでは、資格がなくても「介護助手」や「介護補助」としてスタートできるケースが多くあります。
施設によっては「資格は働きながら取得してください」というスタンスのところも増えています。
ただし、資格を持っていると選択肢が広がり、給与面でも優遇されることは事実です。
また、できることの幅も大きく変わってきます。
例えば、たんの吸引といった医療的ケアは、一定の研修を受けなければ実施できません。
介護職に役立つ主要な資格一覧

ここからは、介護の現場で働くうえで取得しておきたい代表的な資格をご紹介します。
1. 介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)
最も基本となる資格で、介護職への第一歩です。
130時間の講習と演習を修了し、修了試験に合格することで取得できます。
- 対象: 未経験者・初心者向け
- メリット: 就職活動時のアピールポイントになる
- 特徴: 実技講習が多く、すぐに現場で役立つ知識が身に付く
- 費用相場: 6万円〜15万円前後
- 学習期間: 1〜3ヶ月程度(通学・通信どちらも選べる)
「介護の仕事を始めたい」と思ったら、まずはこの資格を目指すのがおすすめです。
自治体によっては受講費用の補助制度がある場合もあるので、お住まいの地域の情報をチェックしてみてください。
2. 実務者研修
初任者研修の上位資格として位置づけられているのが「実務者研修」です。
より専門的な知識や技術を学び、特に医療的ケア(たんの吸引・経管栄養など)について深く学びます。
- メリット: 専門的な介護技術が身につき、現場での評価が上がる
- 特徴: 医療的な知識も深まるため、現場での対応力が格段に向上する
- 重要性: 介護福祉士の国家試験を受けるために必須の資格となっている
- 費用相場: 10万円〜20万円前後
- 学習期間: 約6ヶ月程度(初任者研修修了者は一部科目免除あり)
「介護福祉士を目指したい」という方にとっては通過点となる資格ですが、この資格だけでも現場での評価は大きく変わります。
実務者研修修了者は、基本給や資格手当が上がるケースが多いです。
3. 介護福祉士(国家資格)
介護業界で唯一の国家資格です。
3年以上の実務経験+実務者研修の修了後、国家試験に合格することで取得できます。
- メリット:介護職としての専門性が公的に認められる
- キャリア: リーダー・教育担当への道も開ける
- 待遇: 資格手当や基本給アップが期待できる
- 試験時期: 毎年1月頃に実施
- 合格率: 約70%前後(2024年度実績)
4. ケアマネージャー(介護支援専門員)
介護サービス全体のコーディネートを行うのが「ケアマネージャー」です。
利用者一人ひとりに合ったケアプランを作成し、さまざまなサービスを調整する重要な役割を担います。
- 前提条件: 医療・福祉・介護いずれかの分野で5年以上の実務経験が必要
- 資格の位置づけ: 介護職のキャリアパスの一つとして人気
- メリット: デスクワーク中心となり、身体的な負担が軽減される
- 収入面: 介護福祉士より平均年収が高い傾向にある
現場での介護経験を積んだ後、より俯瞰的な立場で介護に関わりたい方に適した資格です。
ケアマネージャーになると、利用者さんの生活全体を支える「調整役」としての役割を担うことになります。
資格取得者数の推移
介護資格保有者は年々増加傾向にあります。下図は過去5年間の主要資格保有者数の推移を示しています。

*※数値は厚生労働省の統計資料および業界調査に基づく推計値です
資格を取ることで得られる5つのメリット

資格取得には時間もお金もかかりますが、それに見合った価値があります。
ここでは、資格取得の主なメリットを5つご紹介します。
1. 就職・転職に有利になる
求人の多くが「初任者研修修了者以上」を条件にしており、資格があるだけで応募できる職場が格段に増えます。
また、施設によっては「資格手当」や「待遇改善加算」の対象となるため、給与面でもメリットがあります。
2. 業務の幅が広がる
無資格ではできない業務(たんの吸引や一部の身体介助)もあり、資格を取得することでより幅広い利用者の支援が可能になります。
3. キャリアアップにつながる
「初任者研修 → 実務者研修 → 介護福祉士 → ケアマネージャー」と、明確なステップが用意されています。
目標を立てやすく、自分の成長を実感しやすいのも介護職の特徴です。
4. 職場での信頼が得られる
資格を持っていることで、同僚や上司、利用者のご家族からも「信頼できる職員」として見られるようになります。
実際、「介護福祉士以上のスタッフに相談したい」という声は多くの施設で聞かれます。
5. 家族や身近な人の介護にも役立つ
学んだ知識・技術は、将来的に家族の介護や地域での支援活動にも生かすことができます。
資格保有による平均月収の違い
資格取得は収入アップにも直結します。以下は資格別の平均月収の比較です:

※全国平均値、地域や施設種別、経験年数によって変動します
どんな順番で資格を取ればいい?

介護職の資格は段階的にステップアップする仕組みになっています。
以下が一般的な流れです。
- 介護職員初任者研修(まずはここから!)
- 実務者研修(介護福祉士を目指すなら必須)
- 介護福祉士(国家資格)
- ケアマネージャー(現場経験を積んだ上で)
無理にいきなり上位資格を目指すのではなく、まずは「自分のペースで1つずつ取る」ことが長続きのコツです。
「どの順番で資格を取ればいいの?」という質問をよく受けます。
無理に一気にすべての資格を取る必要はなく、段階的に取得していくのがおすすめです。
ステップ1: 介護職員初任者研修
まずは入門資格である「初任者研修」から始めましょう。
これだけでも就職の幅は大きく広がります。通信講座なら仕事をしながらでも取得可能です。
ステップ2: 実務経験を積む
資格を取ったら、実際に介護の現場で働いてみましょう。
理論だけでなく、実践を通して学ぶことがたくさんあります。
特に「利用者さんとのコミュニケーション」は現場でしか学べません。
ステップ3: 実務者研修へステップアップ
1〜2年の実務経験を積んだら、次は「実務者研修」にチャレンジしてみましょう。
初任者研修よりも深い知識が身につき、介護福祉士への道も開けます。
ステップ4: 介護福祉士の国家試験受験
実務者研修修了後、3年以上の実務経験を積んだら、いよいよ「介護福祉士」の国家試験に挑戦できます。
試験対策講座なども活用しながら、計画的に準備を進めましょう。
ステップ5: 専門性を高める(ケアマネなど)
介護福祉士の資格を取得した後は、ケアマネージャーや認知症ケア専門士など、より専門性の高い資格にチャレンジすることもできます。
自分の興味や将来のキャリアプランに合わせて選んでみてください。
資格取得後に転職するときのポイント

資格を取得したら、いよいよ転職活動のスタートです。
ここでは、介護業界での転職を成功させるためのポイントをご紹介します。
自分の希望条件を明確にする
介護施設には、特別養護老人ホーム、老人保健施設、グループホーム、有料老人ホーム、訪問介護事業所など、さまざまな種類があります。
それぞれ特徴が異なるため、自分に合った職場を選ぶことが大切です。
- 希望する施設形態は?
- 夜勤はできる?できない?
- 正社員?パート?
- 通勤時間はどのくらいまで許容できる?
- 大切にしたい福利厚生は?
これらの条件を事前に整理しておくと、求人探しがスムーズになります。
転職エージェントを活用する
介護業界に特化した転職エージェントを利用すると、非公開求人や施設の内情まで教えてもらえることがあります。

これまで1,000人以上の転職相談を行ってきましたが、エージェントを活用して転職成功率が上がった方も非常に多いです!
面接では”人柄”も重視される
介護の仕事は人と人との関わりが大切なので、資格以上に「コミュニケーション力」や「思いやりの気持ち」が評価されます。
資格があることで”最低限の知識がある”ことは伝わるので、面接では「なぜ介護をやりたいのか」を自分の言葉で伝えましょう。
施設見学を積極的に活用する
可能であれば、入職前に施設見学をさせてもらうことをおすすめします。
実際の職場の雰囲気や利用者さんの様子、スタッフ同士の関係性など、求人票だけではわからない情報を得ることができます。
「ここで働きたい!」と思える職場に出会えば、転職後のミスマッチも防げるでしょう。

施設種別ごとの特徴と求められる資格

介護施設は種類によって特徴や必要とされる資格が異なります
特別養護老人ホーム(特養)
- 特徴: 24時間体制の施設。比較的重度の要介護者が多い
- 必要資格: 無資格でも可能だが、介護福祉士の割合が高い
- 勤務形態: 夜勤あり。シフト制が基本
- メリット: 安定した雇用条件。チームでの連携を学べる
有料老人ホーム
- 特徴: 民間運営の施設。サービス内容や価格帯は多様
- 必要資格: 初任者研修以上が望ましい
- 勤務形態: 施設によって異なる(24時間型・日勤のみなど)
- メリット: 施設によってはホテルのような環境で働ける
グループホーム
- 特徴: 認知症の方が少人数で共同生活をする場
- 必要資格: 初任者研修以上。介護福祉士が望ましい
- 勤務形態: 夜勤あり。少人数制のため一人で対応することも
- メリット: 少人数なので利用者との距離が近く、じっくり関われる
訪問介護(ホームヘルプ)
- 特徴: 利用者の自宅を訪問してサービスを提供
- 必要資格: 初任者研修以上が必須
- 勤務形態: 日勤中心。訪問スケジュールによる
- メリット: 身体的負担が比較的少なめ。自分のペースで働ける
デイサービス
- 特徴: 日中のみの通所型サービス。レクリエーションが多い
- 必要資格: 無資格でも可能。初任者研修があると有利
- 勤務形態: 日勤のみ。土日休みの施設も多い
- メリット: 夜勤がなく、生活リズムが作りやすい
自分の希望や強みに合った施設を選ぶことで、長く働き続けられる環境を見つけられるでしょう。

まとめ|まずは「初任者研修」から一歩ずつ!
介護職に必要な資格は、初心者でもチャレンジしやすい仕組みになっています。
無資格でも働ける職場はありますが、長く安心して働き続けるためには、やはり資格取得が大きな武器になります。
まずは「介護職員初任者研修」の取得から始めてみましょう。
資格を取って、実際に働いてみると、”誰かの人生を支えるやりがい”や”自分自身の成長”を実感できるはずです。